発達障害についての市民講座を受けてきた

職場の人の紹介で区役所で行われる発達障害についての講演会に参加させていただいた。今までぼんやりとバズワード的に聞いたことがあるという程度だった発達障害という言葉の全体像を知ることができ、非常に勉強になったので、メモ的にブログに書き記すことにする。

発達障害という概念がうまれたのは11年前から

発達障害者支援法』というものが施工されたのが2005年4月1日から。それ以前には世間に発達障害という概念が浸透していなかった。つまり11年前に子供だった人は、発達障害という概念がなかったため、障害を見過ごされて育ち大人になった可能性がある。

発達障害は生まれつきの障害である

生まれつきの発達の偏りである。親の育て方が原因ではない。

発達障害という言葉は過渡期である

2013年5月にDSM-5というアメリカの精神科医の診断基準が刊行され、これにより日本の臨床現場での『発達障害』の名称・分類が変わっていく。さらにWHOもICD(国際疾病分類)を改訂中。つまり発達障害という言葉の中身は過渡期であるといえる。

ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)

従来の広汎性発達障害アスペルガー障害・自閉症性障害・小児崩壊性障害というサブカテゴリーは、DSM-5では全てASDに統合される。世に言う発達障害とはおそらくこれを指すのだろうと思った。個人的には広すぎるカテゴリーなのではと思った。

症状は発達早期に存在しなければならない

基本的に、発達障害は生まれつきのものであるという考え方の大前提があるようだが

  • 本人の能力次第ではある時期まで目立たないこともある
  • 対応の仕方を学ぶことによって障害が隠されていることもある

という場合がある。つまりある環境では適応できていたが、成長とともに、新たな環境に移った時に適応できず障害が顕在化するという考え方かと思う。例えば、高校までは適応できていたが、大学に入ると自由な環境や人間関係に適応できなくなる、などといったことが起こる。人によって顕在化する時期は様々だが症状自体は発達早期から存在する、という考え方かと思う。

症例は多岐にわたる

様々な症例が紹介された。ざっくり列挙すると

  • コミュニケーションの齟齬
  • 空気が読めない
  • 融通が効かない
  • こだわりが強い
  • 衝動のコントロールが難しい

などがある。そのそれぞれに具体的な症例が複数ある。聞いていて思ったのは、人間誰しもどれかの症例には当てはまるのでは、ということだった。

診断の意味

大人になってからその人が発達障害であると診断する意味はあるのか、という点について、いくつかメリットが挙げられた。

  • 周囲からの誤解を解く
  • 本人の不全感・劣等感の軽減
  • 本人や周囲が気をつける点を予想することができる
  • 進学・就職に関するヒントになる
  • 各種福祉サービスを利用する

などがある。逆にこれらのメリットがない場合、診断の意味はない。例えば、周囲から見て発達障害の傾向がある人でも、問題なく現在の環境に適応できているならば診断は必要ない。わかりやすい考え方だと思った。

白か黒かではない

発達障害には『スペクトラム』という考え方があって、それは単純にその人が発達障害であるかないかという白か黒かという考え方ではない。白と黒の間には薄いグレーや濃いグレーなどがあり連続したものだ、という考え方。そして白か黒かグレーかということが問題なのではなく、現実の環境で適応できない障害があらわれているかどうかという部分を問題にすべき、というような話だった。

発達障害は治らない

発達障害とは個人の特性のことを指すので治せるものではない。特性を理解し、生活上の工夫をすることのアドバイスや、周囲はその人を深く理解することで適応を支援する。印象に残ったのは「発達障害の人が働けるかどうかは、職場の成熟度にかかっている」という言葉だった。もっと大きく捉えると「社会の成熟度が問われる」という意味だと思った。